伊坂幸太郎作品は読みやすいなあ。この前に千葉雅也の「オーバーヒート」を途中で挫折したので、もう長い小説は読めなくなってしまったのかと思っていた。
主人公が思いもせずに事件に巻き込まれていく形はもう読んだことある感は出てしまうけれど、会話でストーリーが進んでいき終盤に向けて速度が上がっていくところは伊坂幸太郎の神髄だねえ。ちゃんと伏線を回収するところとかも。
第一版が2019年7月だからまだコロナ前で、その7か月後にダイアモンドプリンセスの横浜寄港があったので感染症による危機を予見したともいえるんじゃないの。ウイルスに対する治療薬とワクチンをめぐって、夢の中の世界と目が覚めている世界の双方でRPGのように組織との戦いがあったりする今日性が面白かった。