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スタンの日記です

「追悼の達人」嵐山光三郎を読んだ

先の国葬の時、菅さんが弔辞を読んでいる姿をTVで見て、くぐもった声は国会答弁よりも弔辞向きだと思った。一度も嚙まなかったようだが、声を詰まらせるところはちょっとぐっときてしまった。

嵐山光三郎の「追悼の達人」は明治から昭和の文豪がどのような弔辞を読んだか、また死んだのちどのような弔辞を読まれたかを膨大な資料からまとめたものでP637もある。

登場する47人の文豪のうち、誰が弔辞の文章がうまく達人たり得たかというと川端康成らしい。無理な話ではあるが、その時代にタイムリープして実際に葬儀場で参列者として聞いてみたいと思った。追悼文の内容のよしあしよりも、読む姿やその声のほうが案外印象に残るものかもしれないと思っている。

 

 

弔辞とは違うけど、出棺のまえに喪主がする「参列者へのご挨拶」をオレは三回やったことがある。「生前はご厚誼にあずかりましてありがとうございます」は必須ワードらしいので各回ともに言ったとは思うんだけど、最初の母親のときは全く何言ったか覚えていない。二回目の伯母のときは棺に入れたものの思い出話をした。父親のときは「晩年はあまり話すこともなくなってしまった。長い病院や施設での生活の中で父はなにを思っていたのか、折に触れて考えたいと思う。」と言った。

十年以上まえのことだ。