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スタンの日記です

ロバート・B・パーカー「背信」

私立探偵スペンサーは料理をする。部屋は片付いている。オレと一緒じゃん。

  

背信 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ハ 1-47 スペンサー・シリーズ)

背信 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ハ 1-47 スペンサー・シリーズ)

 

 

ちょっと前までは、 そういった一人暮らしの男はおおむね「変わり者」に見られた。特に女性からは。

いつか「ご飯を炊く時、米はといでからザルにあげておくんだ」と講釈したところ、年上の女性から「そういうこだわりの手順を、結婚したら奥さんにさせるの?」と言われたことがある。「結婚してもオレがやればいいんでしょ」と答えた。

最近は違ってきている。炊飯器は米を研いですぐ炊いていいようにできているし、第一今の米は精米技術が上がったので「研がないでさっと洗う」のが正解だ。

 

米の炊き方も変わったけれど、「男・女」っていうところで物事を語ること自体が古くなったと思う。

「男だから」という昔あった常識的なものから外れたところでのハードボイルドの主人公スペンサーの物語『背信』なのであるが、結局は犯人は「アタマのおかCーゲイ」なのである。

ちょっとぉー!そりゃなくない!

黒人差別やユダヤ人差別的な表現もあって、そこんとこは引っかからないんだけど、最後の最後で登場したゲイの人物が殺人の実行犯だってのはメチャひっかかる。

「結局カッコイイ男はタフでストレイトであって騎士道的にふるまう」っていうマッチョ思考は今となっては時代遅れで、ゲイ当事者のオレとしては天で話にならないのである。

スペンサーがボストンの街のどこで何を食べたとかいう瑣末なことがこの物語のおもしろみのひとつではあって、そういったところでは今のFaceBook的であって、10年まえに書かれたものとしては(たまたま)先をいっていたとも思えるけど、あいにくオレはTwitterFaceBookもやらないんでね。

古い人間が古い小説を読み返したのである。