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スタンの日記です

植木屋さんを継がなかったことについて

子供の頃は勤め人の子供がうらやましかった。

夏休みには家族で旅行して、親にボーナスの時期には何か買ってもらえて。

 

父親が植木屋だって友達に言うのが恥ずかしかった。

小学校の頃には家に風呂が無くて家族でトラックにのって銭湯に行き、夏場は大きなたらい桶を庭に置いて行水をしていた。

 

「幼い頃のそういう体験があってよかった」

 

庭に柿・枇杷・はたん杏の木があったけど、あんまり食べなかった。

竹林では野良猫が子供を産んだ。

井戸の脇には月桂樹があって、葉っぱをちぎってにおいを嗅いだ。

玄関先には大きなケヤキの木があって「アオダイショウ」が住んでいた。

どぶねずみを丸呑みしているのを、遠くからこわごわ見ていた。

半地下の温室でさぼてんの花が咲いていた。

 

そういったいろいろが、今では自慢でもあるけど。。。

 

お父さん、

植木屋を継がなくってごめんなさい。

死ぬまでこめんなさいって言わなくてごめんなさい。

絶対植木屋にはなりたくありませんでした。

 

無駄に植物に詳しくて、

やっぱり植木屋の息子です。

 

ベランダにあるクワズイモは元気です。

ユッカは切り戻したら根から新芽がでてきました。

 

タイサンボクや百日紅や木蓮の花をみても、金木犀や梔子や梅の花が匂ってきても、子供の頃を思い出します。

どんな季節にどんな植木をみても、何かを思い出します。

 

植木屋を継がなかったけれど、

植木屋の息子でよかったです。